表現者コメント-2
「人をつくるのはその環境である」、と思う。
ウルマにお世話になって6年ですか。お世話になりっぱなしだったかな。初めてあの空間を見た時は度肝を抜かれたものだ。
コンサートライブなどでよく行った憧れのあの空間のすぐ傍で創作活動ができるあの喜び。「デス電の倉庫ってどこにあるん?」と聞かれたときに、「大阪城ホール!」と一言で返せるあの手っ取り早さと鼻の高さは格別なものでした。
この先、きっと何度も「あの頃は恵まれていた」と思い返すことだろう。
デス電所にはステージを覆い隠すほどの大きさの、通称「よろしくどうぞ幕」というものがあるのですが、あれほどの大きさの幕を縫い、ヒト一人大の大きさの文字を書こうとはウルマがなかったらとても思わなかったでしょう。
僕は劇団で振付の立場でもあるのですが、狭い空間では狭い発想しか出て来ないところが悔しくも正直なところです。その狭い発想を、ウルマは雨の日も雪の日もいつもあたたかく迎えて広げてくれる大事なパートナーでもありました。
始めはこんな広いスペースを一人で使っててもよいものだろうかと恐縮しながら踊り、それまでの環境に比べての歓喜と感謝のあまりなぜか防犯カメラにお辞儀してしまったこともありました。そこから数年たった今では…ほんの少し、この空間に負けない動きが生み出せるようになったのではないでしょうか。
劇団のお芝居も同じくしてで、やっとあの特別な空間を素晴らしく使える芝居創りができるようになってきたのではないか、と思えるようになってきたところです。ところでした、ですか。非常に残念でたまりません。
小劇場からさらなる大きな劇場への挑戦を、物理的にも精神的にも感じさせてくれたウルマ。僕らの大切な成長の場。
ありがとうございました。
豊田真吾(デス電所 役者/振付
)
演劇の本質は単なるエンターテイメントだけではなく、それに携わるすべての人間の感性を養い、人格を形成する芸術行為である。創り手であれ観客であれ、私たちは演劇を通して自分が何者かを知り、自国や民族性を理解し、自分の生れ住む土地を考えるのである。歴史的に見ても関西(上方)は日本の文化芸術の中心であり、日本人本来の普遍的価値観や精神性を創造し続ける底力を秘めている。関西に根付いた演劇が人間を創造し、その人間がまた新たに文化を発信することで、私たち日本人は再生し続けられるのである。
その可能性を誰も失ってはならない。
金久蒼汲(大和座狂言事務所)
演劇ブームから遅れること十数年してから演劇に関わった者として、「一つの劇場の始まりから参加できた」という誇りを勝手に感じていました。
倉庫活用や合同公演、演劇祭に参加したその劇団も2005年末に解散し、ホームを失う喪失感を抱きましたが、倉庫から出て行く時に担当の方から「また、大きくなって帰ってきて下さい」という言葉をいただきました。演劇で繋がる事が出来たんだと感じた事を、今でも覚えています。
2007年に新劇団を旗揚げしました。
が、今はまだ劇団の規模も小さく、ウルトラマーケットを活用出来ていません。
そんな私達の目標は、「またウルトラマーケットに倉庫を持つ、公演をする事」でした。
岡部尚子(空晴 代表)
何かを達成しようとするときによく、「天・地・人」という言葉を耳にしますが、舞台芸術も同じように思います。劇団には劇作家や俳優をはじめ、多彩な「人」が集まります。この人々のエネルギーを活かす「空間」がなければ、文化はやがて廃れ、国際競争力の乏しい都市になってしまう…そう思えて仕方がありません。ウルトラマーケットは5年間、倉庫、稽古場、そして劇場として大きなエネルギーを蓄え、放出してきました。ですから今回の閉鎖は非常に残念です。
笠井友仁(エイチエムピー・シアターカンパニー所属 演出家)
我が劇団は、「ウルトラマーケット」が開設された当初から、倉庫及び大道具製作場として利用させて頂いてまいりました。
また、この施設が、ひとつのものを複数劇団が共有するという条件を持つことにより、他劇団との技術・情報の交換の場としての機能も果たしており、多分にその恩恵も享受させてきてもらいました。
また、「ウルトラマーケット」は、関西の演劇界の中で、芸術実験の場として、大変独自かつ切実な存在感を放つ劇場となっており、それは、非商業的な演劇界で活動する芸術表現者達の象徴の場ようにも感じられています。
以上のように、我々にとって、大変重要な施設と感ぜられています。
上田一軒 (スクエア代表・演出家・俳優)
ウルトラマーケットが私たちの拠点だった。
劇場においても、倉庫空間としても、叩き場としても、劇団として演劇をつくる拠点だった。だから、劇団とは別のユニット期間限定サッカリンの活動をすることも出来た。
拠点があったから、新たな創造を始めることが出来たのだ。
拠点とは新たな可能性を創造する空間のことである。
そして文化とは、人間の心の可能性を育むことではなかったか。
樋口ミユ(劇団Ugly duckling 期間限定saccharin)