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〜「窓の彼方へ」記者会見・大阪レポート〜

内藤:仲道さんとは、1996年『仲道郁代の音楽学校』で初めてお会いしまして、それから、毎年夏に、全国10ヶ所ぐらいやっていました。コンサートで演奏される曲をもっと自由にもっと楽しく聴いていただきたいというご意向が強くあられて、前半で、楽曲を下敷きにしたレクチャーではないんですけれど、お芝居を30分程やりまして、そのお芝居を観ると、後半の1時間余りのピアノ演奏が、非常に自由にもっと楽しく聴けるという構成のコンサートを作りました。この企画は10年続いたのですが、もっとやりたいことが増えてきちゃって、音楽とお芝居がお互いに影響しあいながら、コラボレートして良いものができないかという作品に対する想いが強くなりました。
そして、10年間やった後に、一区切りつけて、新しく演劇と音楽の作品を創るという冒険を始めました。その第一弾が、兵庫県立芸術文化センターがプロデュースして下さった『4×4』です。これも、僕、作・演出をしたんですけど、僕は非常に満足して、ワクワクして楽しかったんですが、「難しくてわからない」と言われまして(笑)、そんなことないんじゃないかなと思ったけど、相手、クラシックだし、クラシックとお芝居がコラボレートして、よくわかりましたなんてもんができるわけねえだろと思ったんだけど。とりあえず難しすぎるといわれまして、別に、簡単にするつもりはないが、観念的になりすぎず、何か観ていて楽しく、何かいつもより音楽に入り込んで聴けて、お芝居が音楽のイメージをいただいて膨らんで観れる。つまり、楽しく観ているうちにいつもより音楽に対しても、演劇に対しても、想像力が飛躍的に膨らんじゃうという作り方ができないかと、この作品『窓の彼方へ』を作りました。これが、本当に、1回目、難しいと怒られたことが、非常にプラスに働いており、自分でも何といっていいかわかんないくらいおもしろい。素晴らしい出来になりました。2010年の夏に、倉敷で初演しまして、評価を頂き、その流れで、2011年1月に北九州芸術劇場で再演しました。またそこへ各地の方々が観に来ていただいて、あちこちから、再演の可能性を頂いております。今年、またピッコロとあうるすぽっとで上演して、僕としては、一年にたくさんでなくてもいいから、2、3ヶ所でもいいから、長くこの作品を続けてやっていきたいと思っております。仲道さん、きっかけとこれまではこんな感じでいいのかな?とりあえず、この作品が、なんて言っていいかわかんないくらい素晴らしいって言ったんだけど、どう素晴らしいかちょっと説明してください(笑)。

仲道:はい(笑)。私は、舞台の上で一演者として、ピアノを演奏します。音楽を奏でているのですが、ショパン(※3)の曲を奏でることによって、セリフを言っているようでもあり、役者さんがお芝居で言っているそのセリフが音楽を物語っているようでもあり、舞台の上ですごく不思議な感覚になります。舞台の上にいながら、うるうるっとなってしまうところが何ヶ所もあって(笑)……。内藤さんのお芝居は、南河内万歳一座とか、他の劇団のものなど、よく見せていただきますが、私との企画における内藤さんの作品は、もちろんバタバタとおもしろいところもありますが、叙情的と言いますか、本当に心揺さぶられるものです。何かよくわからないけれど、心の中できゅんとするのです。もしかしたらそれがショパンの音楽の一番本質的な部分であり、それを演奏ではない異なる形で表現してくださっているからなのではないかなと思います。ショパンって、本当は一番お芝居や物語にするのが、難しい作曲家なのです。ショパン自体が、そういうことを嫌ったということもあって、ショパンの曲で起承転結があるようなもの、終わって「ああ、そういうことだったのね」と言うようなストーリー性があるものというのは、音楽の本質から考えてありえないのです。今回も、もちろん起承転結のあるストーリーではありません。私はそれぞれにまつわるエピソードの途中で、曲を演奏していきます。「窓の彼方へ」というタイトルがついているのですが、その窓の外を見ているようであり、自分の心の中を眺めているようであり、もしかしたら、その窓から時空を超えた過去を見ているようであり、未来を見ているようでもあります。
本当は音楽というのはそういう作業をさせてくれるものなのに、今そこで響いている音だけに捉われて、それを超えたところまで意識が及ばなくなっている。でもお芝居があることによって音楽の『窓の彼方へ』を観るという作業をしやすくしてくれている……と感じています。ですので、音楽は決してお芝居のバックミュージックでもありませんし、それからお芝居が音楽を説明しているわけでもありません。


内藤:話自体は、基本的には楽曲とは無関係ですよね。ストーリーは。

仲道:ストーリーは関係ありませんよね。でも、やはり音楽の一番言わんとしている部分をこんな形で表現できるのだなと思いました。
96年、最初に内藤さんにお会いした時に、「僕は音楽の成績は2ですからできません」とおっしゃって、非常に及び腰で「1年やったら、次はありませんね」と、言いながら「仲道郁代の音楽学校」がスタートしました。これが10年続き、その中でたくさんの作曲家、たくさんの作品、難しい作品、例えば武満徹さんの作品やベートーヴェンの最後のソナタなどを、お芝居にしていただきました。その後は、私より音楽の本質にぽーんと入り込んで、理解なさるので、私の方が教えて頂くことが多くなってきました。
ついには、『4×4』も『窓の彼方へ』も、私がこの曲はこういう曲でこういう風に思っているのですと言わなくても、内藤さんの中で、こういうファンタジーというか、沸き起こったものを書いて下さるようになりました。台本をいただいて「はああ、すごーい素敵!」と思いながら、嬉しく出演させていただいております。


内藤:だいぶ、仲道さんにしごかれて、成長させていただいたんです。

仲道:もしかしたら、台本を書き解釈し演出すること、役者さんが演じることと、音楽家が作品を解釈することというのは、非常に近いことなのではないかと思います。異なる部分もありますが、本質的には同じ作業で、そういうところから、違うフィールドの刺激を私はいただいております。

〜続く